100年後の懐中時計～あなたが育てるアンティークポケットウォッチ～

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ウォッチバイヤー　専務こと合田圭四郎です。
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今週の時計に関する日曜日勉強会は

100年後の懐中時計～あなたが育てるアンティークポケットウォッチ～

今回、懐中時計編ということで「後に残したい懐中時計」、こちらについてお話したいと思います。

今回未来のアンティーク、あなたが育てる時計と言いますか、こちらについてお話したいと思うんですけれども、よく言われるのが「アンティーク」と「アンティーク以外のヴィンテージ」、「中古」とか、こういう時計の違いとはなんぞやと言いますと、100年以上経過したものをアンティーク、99年以下のものをヴィンテージであったり中古品と呼んだりします。

僕はそういう古いものが好きなんですけれども、ちなみに今着ているこの革ジャンも19歳ぐらいから来てるのでだいぶ年季は入りました。

色も一回も塗り直していないのでボロボロにはなってきたんですけども、それでもやっぱり一つのものを大事に使いたいという気持ちからずっと着続けてはいますが、服はどうしても突っ張ったりとか色んな所で劣化をしやすいものなんですけれども、時計は身に付けるものでありながら、そういう風なダメージが少ないものではありますので、長く生き永らえると。

よく100年前の車というとだいぶ古臭い印象はありますけども、100年前の時計は全然動きます。

ちなみにこの時計も100年以上、もう人間でいうと100歳以上ですが、まだまだ動きます。

ちょっと中身的には少し弱ってはきているんですけど、この時計なんかウォルサムもそうなんですけれども、「出テンプ」って言いまして、何が出テンプかって言うと裏蓋が、これも今の防水仕様の基本なんですが、バブルバック。ねじ込み式になっています。

で、蓋を開けるとテンプがこういう風に、ここだけ剥き出しになっています。
テンプだけ剥き出しているので出テンプという風に呼ばれているんですけれども、これなんかでもリューズで時間調整するタイプなのでまだそこまで年代が古くはないです。ただまあ、十分なアンティークです。

でもう一つ、最近僕がよく使っているモデルがありまして、それがこちら。19セイコーですね。

19セイコーっていうと後ほどまたお見せするつもりなんですが、こういう風なタイプで裏面にはいつの年かっていう刻印が入ってたりするんですが、僕の場合は入ってませんでした。

入ってなく、ただ15石。石の数も多くてブルースチールの針もきれいという所で、せっかくなので自分でカスタムしてムーブメントを見せる仕様に少し変えてみました。
こういう楽しみ方ができるのも古い時計の醍醐味の一つかなと思います。

100年以上持とうと思うと考えたいのが振動数であったり、やっぱり長く持てる体質なのかどうか、現行の腕時計とか振動数が8振動、あと10振動なんてものも存在しますが、1秒間に10振動動くわけですから、大分の負担が行くわけですよね。

さっきの服ではないですけど、そこにずっと動き続けることによって制御する所がずっと動き続けているわけですから、人間でいうところの心臓がずっと高鳴りを続けているみたいなものです。

なので、追々ダメージが行くんじゃないかと思われる機械もあったりしますが、ちゃんと弱いところも補えているモデルもありますので、一概には言えないんですけれども、やっぱり懐中時計なんかもそうなんですが、1秒間に5振動、先程の10振動の半分なんですけれども、5振動、毎時18000振動、このモデルはですよねやっぱり100年以上前の時計から見ても僕は安定しているんじゃないかと個人的に思っています。

そんな100年以上持てる、この時計なら大丈夫だって言えるような時計をいくつかかいつまんでご紹介したいと思います。

長く持てる懐中時計あれこれ

こちらに時計の方用意しています。

この手前2つは先程出したウォルサムと、この使っている19セイコーなんですけども、とても60代と思えないぐらいの全然まだまだ動く機械です。ちなみにこの動いている5振動、このテンプ輪にも関係もしてますし、こちらのガンギ車なんかもリズム良く動いてます。

やっぱ8振動とか10振動になると、割をもっと早くなってしまうので負担も行きやすいんじゃないかとは思ってるんですけれども、同じ状態で10振動ならばもちろん負担が行くかと思いますが、今はその分摩耗が激しいところに宝石の数なんかいっぱい散りばめられたりしてるので、この19セイコーでも「15 JEWELS」15石なんですが、7石のモデルも存在します。

7石の方がちょっと簡素になってる感じではあるんですけど、やっぱり現行の機械を長く持とうと思うとこちら、アエロの金無垢です。
見た目、パッと見は分からないんですがズッシリ重みもあって金時計らしさが実感できます。

やっぱり100年後というと自分が死後、自分もいない後世に継ぐべきものという風になるわけですけれども、そういう価値がこの金無垢にはあります。重みもありますね。なので普段使いで携帯するというよりも家に飾って、ゼンマイをたまに巻いてあげてっていう感じで、長年きちんと持ち続けることに価値があるんじゃないかなと思います。

こちら銀素材のウィンドミルズ。
こちらも大きめなんですけど裏面はシースルーバックでムーブメントが丸見えになっています。

やっぱりこういう見て楽しいっていうのも時計の醍醐味じゃないかなとは思いますが、銀は持てば持つほどに変色していって、いわゆるあの言葉でもあるように「いぶし銀」であったり、ちょっと黒ずんだ感じでよりアンティーク感が出てきます。

これ凹凸があるんですけど、その凹みのところにやっぱりどんどん劣化が始まってきます。
なのでそういうところも楽しめるんじゃないでしょうか。

銀素材の良いところは、ステンレスとは違う、合金とは違う、白い輝きがありながらアンティーク感も楽しめるという二度面白いところです。

でお次はアエロウォッチのCobweb（コブウェブ）。
これはステンレスなんですけれども、PVDブラックメッキを施されたモデルになります。

コブウェブ自体がコンセプトは「クモの巣」なんですけれども、この文字盤もから見えるムーブメントはクモの巣状に模様が配置されています。
これもなかなか無骨でかっこいいモデルですね。

裏面がどうかというと、人工ルビーと金色の歯車と銀色の歯車で4色で展開されたこの色使いもかっこいいです。

こういうモデルなんかもかっこいいです。
使うほどにちょっとずつ色も変色してくるので、こういう下地のステンレスが出てくるんじゃないでしょうか。

ちなみにこちらはステンレスバージョン。よりクモの巣感がわかりやすいです。

やっぱりスケルトン、次でいうとこのエポスなんかもスケルトンなんですけれども、なぜスケルトンがいいか。
やっぱり状態がはっきりわかりやすいと。

特殊な機構でもないですし、シンプルなものですから、何かが外れているとか劣化しているというのもここでわかりやすいです。

例えば錆が入ったり、中に水滴があったりとかもスケルトンの場合はすぐ気づけるのは一つかなと思うんですけども、でも今のアンティークでスケルトンってそんなに数はないんですよ。

なのでやっぱりこれからの未来のアンティークとしてはこのエポスとかこういった中身が丸見えのスケルトンなんかビンテージとしてもアンティークとしても残っていくんじゃないかなと思っています。

お次はこちら、先程もお出しした19セイコー。

こちらは裏面が昭和36年の東鉄ですね。
こんな感じにいろんなモデルが出てくるわけなんですけど、これも一期一会で先ほどの現行品はやっぱりモノさえあればなんですが、このアンティークとかヴィンテージに限っては仮に同じ品番、同じ程度（年代）のものでも、やっぱり保存の、他の状態が違うことによって全然この劣化が変わってきます。

劣化と言いますか経年変化と言いますか、そういう風な嗜好が変わってきますので、やっぱりいいものを探すとそれなりの予算になってくるというところに値段まで関係してくるのはこのビンテージウォッチの特徴ですね。

お次はこちらですね、ロンジン。

以前から蓋付きのロンジンがいくつか入荷しているんですけども、やっぱり入荷する度すぐなくなっています。

こちら、やっぱりこのロンジン自体はアルベルト・アインシュタインが幼少期に使っていたブランドということもあり、あと西郷隆盛に贈られた時計なんかもロンジンの金時計でした。

こういった時計なんかがパッと見はシンプルなんで、全然何がこれをビンテージ感があるんだと思うんですけども、この時計はちなみに生産されなくなって十数年経つんですが、中身はちゃんと見えないんですけど二重蓋になってました。

蓋の中の機械を見ると、ちゃんとコート・ド・ジュネーブされた機械がしっかり入ってます。
その上から蓋をして更に蓋をしている状態なので、防塵的なものでもしっかりしてますし、作りがいいですね。
そういうところでは未来に残していくべきアンティークかなと。

ただ単にスイス時計だったらいいってわけではなくて、その中でも先ほどのコブウェブのようにきちんと加工されていたりとか、このロンジンのように装飾はないけど中身がしっかり加工されているものというのはやっぱり未来のアンティークとして持つべき価値があるものじゃないかなと僕は思っています。なのでこちらお勧めをします。

第1回の近代オリンピックでもタイムキーパーを務めたのはこのロンジン、あとは芥川賞、直木賞でも、今はもう懐中時計がないんで作られてないんですけども、副賞としてロンジンの懐中時計が贈られていたのも有名です。

最後に

いかがでしたか。

他にも色んな時計があるんですけど、今回ちょっとこのあたりがわかりやすく、そして100年後持っても、もちろん100年持つにあたってはきちんとメンテナンスすることが前提ではあるんですけども、きちんとメンテナンスを行うことによって末永く持てるタイプです。

ぜひそういったモデル、未来のアンティークになる1本をぜひ持たれてみてはいかがでしょうか。
自分だけではなく子、孫と子孫に受け継ぐ時計っていうのが未来のアンティークにつながる一つの時計と言えます。

ぜひそういう長く持てる価値のある時計っていうのを選んで頂けたらと思います。