クロノグラフムーブメントを知ってくると、2階建てとよく聞く、2階建てについて解説。

いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき 誠にありがとうございます。
https://www.youtube.com/user/syohbido0512

ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
Thank you for watching.

今週の時計に関する日曜日勉強会は

クロノグラフムーブメントを知ってくると、2階建てとよく聞く、2階建てについて解説。

今回のお題は、「2階建てムーブメント」こちらのメリットデメリットについてお話ししていきます。
まず「2階建て」とは何ぞや?という方もいらっしゃるかと思いますので、順を追って説明していきたいと思います。

今回はリクエストを頂戴しております。
多田様、ありがとうございます。

“先日フォルティスのパイロットクラシッククロノグラフを購入させて頂きました。
ムーブメントがデュボアデブラ2020とのことですが、どのような特徴があるのでしょうか。

100年以上続くムーブメントメーカーでETAムーブメントの上にクロノグラフ機構を載せた斬新なデザインをするムーブメントメーカーと聴いたことがあります。

他社のムーブメントメーカーも含め特徴、利点、悪い点などご教授いただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。

機械式腕時計のクロノグラフとは?

まず、「クロノグラフ」というものについてお話ししていきたいと思います。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、通常の腕時計にストップウォッチ機能を加えたものをクロノグラフと呼びます。

クロノグラフムーブメントを知ってくると、2階建てとよく聞く、2階建てについて解説。 – YouTube

いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき誠にありがとうございます。https://bit.ly/2vscbiYウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。Thank you for watching.今週の時計に関する日曜日勉強会は、●2階建てムーブメントのメリット、デメリットについて解説機械式クロノグラフ…

ちなみに私が使っているこのフォルティスは廃盤が決定しているB42コスモノートのクロノグラフなんですけれど、この中に使われている機械は以前はETA7750(バルジュー7750)クロノグラフムーブメントが入っています。これが自動巻きですね。

このクロノグラフを知ってくると、「2階建て」というキーワードを耳にするようになります。
2階建てとはなんぞやっていうとですね、通常の時針・分針・秒針で構成されているムーブメントの上にこのクロノグラフ機能を足した2つのムーブメント機能を2階建てと呼ぶことがあります。

今回お買い上げ頂きました「デュボアデブラ2020」、こちらは2階建てなんですね。

2階建ての良い所・悪い所

それでは、2階建てムーブメントの良い所、悪い所両方ありますのでそちらの魅力をお話していけたらと思っております。

まず、クロノグラフに強いデュボアデブラ、1901年1月1日にスイスで創業した「マルセルデプラ」、こちらを前身に持つムーブメントメーカーです。

使われている腕時計ブランドとしては「ブライトリング」、「ユリスナルダン」、「ウォルサム」、「フォルティス」など、様々な名門ブランドに使われている、つまり信頼性のある機械メーカーと言っても過言じゃないかと個人的には思っております。

先程も言いました2階建てというのは、ETA2824やETA2892といった汎用性の高いムーブメントにクロノグラフ機構をドッキングしたものがクロノグラフの2階建て機構となります。

40代以降の方はわかりやすいかと思いますけれども、「テレビデオ」か、「テレビとビデオデッキ」この2つを持つのかの違いと思って頂けたら良いかなと思います。

まず2階建てのメリットについてお話していきたいと思います。

巻き効率が良い

もともとETA2824やETA2892の機械の場合、裏のローターがどちらに回ってもゼンマイが負ける両巻仕様となっています。

方やETA7750は片巻なんですね。そのあたりで巻き方向の量が違うというところから、自動巻きの良いとこ取りでどちらに振ってもゼンマイが巻ける両巻式をとっている、つまり巻き効率がいいということなんです。
それがこの2階建てクロノグラフのいいところなんですね。

不具合の切り分けができる

ムーブメントに不具合があった場合、クロノグラフ部分に何か不良があるのか、それとも三針部分に異常をきたしているのか、どちらに問題があるのかを分けて見ることができます。

通常のクロノグラフムーブメントの場合は開けて状態を見ながらどの部分がダメなのかというのを見なければならないんです。
しかし、2つが分離していれば簡単なんですね。そこがいいところかなと思います。

バリエーションが豊富

クロノグラフムーブメントを作ることに特化しているので、そこでいろんなものが後付でできるというのも一つのメリットではないでしょうか。

それではデメリットの方へ行きたいと思います。

裏から見た場合、普通の三針ムーブメントと変化がない

シースルーバック(裏蓋にガラスがはめ込まれ、ムーブメントの動いている様子を見ることができる仕様)になっている場合、裏面から見る機械の美しさは機械式腕時計の楽しみの一つでもあるわけなんですが、

こちらの2階建てムーブメントの場合、裏面から見るとただの三振機械と同じなので、クロノグラフらしい複雑な動きを見ることができないのがデメリットではないかと言われております。

厚みが出てしまう

2階建てムーブメントいう構造上、どうしてもムーブメントの厚さがあるわけなんですね。
2つのムーブメントをを足しているわけですから、オールインワンのクロノグラフムーブメントに比べるとかさが増してしまうということになります。

ポン付けしたかのように見えがち

これが一番多いんじゃないかと思うのが、ムーブメントがそれぞれ別々に開発されているので、まるでポン付けしたかのように思う人がいるということなんです。

実際そんなことはなく、複雑機構として作られたもの同士がきちんと噛み合って動くというのは凄いことだと個人的には思いますけれど、それがポン付け同士でよろしくないという風な意見を持つ方もいらっしゃるということなんです。

2階建てを見分ける方法

ムーブメントが2階建て機構かどうかを見分ける方法というのがあります。
シースルーバックになっている時は、表面がクロノグラフでも裏面が三針ムーブメントになっているのでわかりやすいです。

ではシースルーバックになってない時はどうやって見分けるのか?この場合はやはりある程度時計の情報を見る必要があるわけなんですけれども、まずひとつの基準として”石の数”が挙げられます。

時計には「受け石」と言われる、歯車と歯車を抑える石が使われているわけなんですが、この石の数で判断することができるのです。

ちなみにこちらのETA6497、懐中時計でもよく使われる機械なんですが、こちらは17石。そしてこのコスモノート・クロノグラフに使われているバルジュー7750、こちらは25個の受け石が使われております。

ではこのデュボアデブラのような2階建てムーブメントはどういう風になっているのかというと、デュボアデブラ2020は47石です。圧倒的に石の数が多いわけです。

なぜなら2つのムーブメントを合わせているからなので、こういう時は石の数やスペックを見たときにコレ2階建てなのかな?っていう想像もできます。

あとは聞くとわかりやすいかと思いますけれども、このような感じで石の数も判断基準に思っていただければ分かりやすいんじゃないかなと思います。

また、ムーブメントを2つドッキングしているとどうしても分厚くなるということを先程も言ったんですけれども、実際のところ最終的にどのようなケースに収容されているかで印象が変わります。

ちなみに、今回お買い上げいただきましたクロノグラフは13.7ミリなので、私が今着けているコスモノートクロノグラフの方が少し厚めです。

2階建てムーブメントではないですが、こちらの方が厚いので最終的にどのようなケースに入っているかで変わってくると思っていただくと分かりやすいんじゃないでしょうか。
なので、そこまで気にする必要はないのではないかと思います。

ETA7750やSW500に比べると使われているのは少ないので、そういった所で人と同じものを好まない方なんかはこういうのもアリなんじゃないでしょうか。

もちろんマニュファクチュールもありだったりするわけなんですが、それなりの値段になってしまいますから、三針とクロノグラフの良いとこ取りをしたハイブリッドムーブとして2階建てというものを楽しんで頂ける面白い時計ではないかなと個人的には思っております。



正美堂時計店は、時計知識を深めるため、お客様に正しい情報をお伝えするため、週1度時計に関する勉強会を行っております。
また、新商品入荷など、ライブ配信にて情報をお届けしております。
チャンネル登録お待ちしております。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール