いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき 誠にありがとうございます。
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ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
Thank you for watching.
今週の時計に関する日曜日勉強会は
高い時計が、良い時計とは限らない!?
今回の動画は「高い時計が良い時計とは限らない」こちらについてお話をしていこうと思います。
人間誰しも時計を買うにあたり予算という壁が必ず出てくるわけなんですけれども、高い時計を買ったとすれば必ずそれは良い時計なのか、今回はそちらについてお話をしていこうと思います。
時計の良し悪しを判断する一つの基準として「価格」が存在します。
数万円のものから数十万円のものと存在するんですけれども、必ずしも後者がいいとは限らないということになります。
わかりやすいんですよね、値段って。
50万の時計を買った、5万の時計を買った、響きは全然違います。
高いものの方がより失敗しないであろうというところからそういった金額で信頼性が出てくる部分もあるかなと思うんですけども、実際のところそうなのかというのを今回はお話していこうと思います。
これから時計を購入しようとご検討中の方なんかにも参考になれば幸いです。
ムーブメントには許容範囲がある
それではまず「ムーブメントには許容範囲がある」ということを理解しておきましょう。
ちょっと価格からは少し話を置いておいて、まずムーブメントには許容範囲がある。
これは当店の基準をベースにお話をさせて頂きます。
正美堂時計店では独自の検品基準というものを設けており「スイスかそれ以外か」という基準になっております。
ちなみにスイスの場合はプラスマイナス20秒以内を正常範囲と定めています。
なぜプラスマイナス20秒以内なのかと言いますと、どうしても時計には「姿勢差」というものが現れます。
文字盤が上であったり下であったり90度だったりとかそういった角度によって内部にかかる重力が変わってきます。
これによって誤差が変動するのを姿勢差というんですけれども、基本的にはスイスとそれ以外では違う基準を設けています。ちなみにスイス製の場合はプラスマイナス20秒以内が正常範囲、ちなみにそれ以外のムーブの場合は60秒以内を正常範囲と定めています。
つまりMAXで狂ったとして、スイス時計の場合3日で1分なんですけれども、それ以外の中国製含むムーブの場合は1日1分が限度、まあでも、そんなにMAX広がることはないんですけれども、大体そのあたりを正常範囲と定めてお送りしております。
ムーブメントには当たり外れがある
これはスイスに限らず、スイスと言いますかアジア製とかに限らず、まあスイスもあるんですよ。
実際のところ全く同じかというとそうでもなく、ただスイスムーブの場合は基本、品質が安定しています。
なのでおすすめ特にしてるんですけれども、ある程度こう、アジア製とか、中国製のシーガルとか、懐中時計なんかよくスイス以外のものも混じってたりするんですけれども、そういったモデル、まあミヨタなんかもそうです。
この辺りというのは当店ではプラマイ60秒以内が正常範囲と定めています。
なぜかと言いますとばらつきが多いんです。
たまにめちゃくちゃ当たりのように正確なものもあるんですね。
これクロノメーターなのっていうくらいぴったり合うものもあるんですけれども、必ずしも同じものが入荷して二本測った場合、二本とも同じ精度なのかというとほとんどの場合で違います。
やっぱりこう、品質にばらつきがあるのがスイス以外のムーブということになります。
当店ではスイス製をお勧めをしておりまして、やっぱり精度がある程度安定している。
先程言いましたように精度が、ばらつきが少ないということで、若干進みがちで設定されているんですけれども、どの姿勢においても極端に変わらない。
つまりちょっと進みがちだったら全姿勢進みがち、というのがスイス製の良いところですね。
それ以外の場合は文字盤上でプラス10秒くらいなのに文字盤下でマイナス10とか結構パラパラであったり、またこれは別の機会で検証をしてみたいと思います。
スイスムーブメントをおすすめする理由
はい後は、先ほども言いましたがスイス製をお勧めする理由としては、ばらつきが少ないのでオーバーボールを繰り返し行いながら安定的に使うことができるということなんです。
アジアのムーブなんかもそうなんですけれども、最初メチャクチャいい調子だったのに、オーバーホールから戻ってきたらなんかちょっと前と全然性格変わったよねっていうことがあり得ます。
スイスの場合はまずこういったことは少ないです。無いとは言わないですけど少ないのである程度品質を保ってると、当店でもおすすめできるという理由からスイスの方をお勧めしております。
まとめとしては、まず価格だけで判断すべきじゃないということをまず考えておきましょう。
変な話、100万円でも極端に違う場合はあったりします。
なので、高いお金を払ったのに精度が悪いということを引く可能性とは全然ありますので、まず知っておくべきことはどんなキャリバーがその時計に使われているのかっていうのをまず知りましょう。
これとても大事なところです。
どんなキャリバーが使われているのか、またそのキャリバーが例えば他ブランドでどういったブランドが使っているのか、これも知っておくと一つの判断基準になるかと思います。
やはりそれなりのブランドで使われている場合、まだこれならば信頼できるかなと思ったりします。
例えばパネライでしたら以前、今は使ってないんですけど、以前なんかユニタスを使っていました。
つまりユニタスはある程度信頼性が置けるという風に、そういったハイクラスのブランドでも使っている、ということも言えますので、そういうのも基準として設けて頂くと。
ただユニタスが全部良いかと言われるとそうでもないので、ブランドにより、と言いますか判断基準として覚えておくと時計を選ぶときに「このムーブはここでも使ってたのでちょっと信頼できるんじゃないかな」みたいなところの判断にできるかと。
そういった視点から見て頂くとまた違った目線で時計が見えるかと思います。
高い時計=精度が良い、とは限らない
今回の動画にあたり、以前の動画でコメントを頂いておりますのでこちら一件紹介させて頂きます。
オリエントのクラシックを購入し、
一週間の日差を測りましたが平均10.5秒で進み方も
安定していて良かったので、その後、価格的には
3倍以上するオリエントスターのレトログラードを
購入したのですが、同じ使い方で日差が
平均15秒位、進み方にもバラつきがあり、
三分の一の価格のクラシックより精度が悪く
残念に思ってます。
こう言う事はよくある事でしょうか?
それとも新品のうちは安定するまで
使い込みが必要とかあるのでしょうか?
教えて頂ければ幸いです。
何卒宜しくお願いします。
まさしく今回のお題にぴったりなご質問なんですけれども、まさしくこれが高い時計を選んだから精度が良いとは限らないという例です。
また一つ言っておくのは、時計というのは例えば革ジャンなんかは着込むほどなじんできたりしますが、時計はまずそんなことはないです。
最初に設定された精度というのは後の方まで保ちます。
磁気帯びしたりとかで精度が変わることはあるんですけれども、基本的には馴染んできて精度が安定するなんていうことはないです。
なのでそこのあたりはお店の基準とか、そのお店さんがどういった基準で設定しているのかによってその基準内であればもう良品と判断するしかないんですね。
なので、一番は信頼できるお店さんで、っていうこともあるんですけれども、高い時計が良い時計とは限らないので値段だけで判断してはいけないという良い例かと思います。
ぜひ精度の方、あんまり気になるようであれば一度お店の方に相談するのも一つの手段かと思います。
それで緩急針をちょっと触って精度安定する場合もありますので、ぜひ相談して頂ければと思います。
今回のように値段だけでは判断せず、色んな要素から時計を見たうえでその時計がいい時計かどうかを判断するとより失敗しにくくなるかと思いますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
正美堂時計店は、時計知識を深めるため、お客様に正しい情報をお伝えするため、週1度時計に関する勉強会を行っております。
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チャンネル登録お待ちしております。
正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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