時計の温度と精度の関係 ~時計を氷づけ!結果は?~

いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき 誠にありがとうございます。 https://www.youtube.com/user/syohbido0512
ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
Thank you for watching.

今回のYoutube日曜日勉強会では
「時計の温度と精度の関係」
こちらについて解説をしていきたいと思います。

少しでも参考になれば幸いです。よろしくお願いします。

時計の温度と精度の関係 ~時計を氷づけ!結果は?~

今回は時計はなぜ温度で精度が変わるのか?
こちらについてお話をしていこうと思います。

原因と対策について解説をしていこうと思いますので
これから時計を選ぶ際の判断材料に使って頂ければと思います。

時計の精度が温度で変動する原因とは?

時計は温度に依存し精度が変動します。これはなぜ起こるのでしょうか?

時計の内部、中心といいますか心臓部にテンプ輪が使われており、そのテンプ輪を動かすためにヒゲゼンマイというものが使われています。

このヒゲゼンマイというものは通常は金属でできている素材となっており、伸び縮みするバネのようなもので、温度が低い時は、この金属が少し縮こまります。
人間の体も同じで寒いときは、体が硬くなるような縮こまるような感じがありますよね?
暖かいときは体がのびのび動かせるような、柔らかくなるような感じをイメージしていただければ分かり易いんじゃないでしょうか。

時計に使われている金属もこれと同じで、寒い時には動きが少しギチギチなって、伸びが少なくなるので動きが早くなります。本来ブワっと伸びるものが伸び切らずにまた縮こまってしまおうという動きを繰り返すので寒い時には時計は進みがちになるんです。

逆に暖かい時はゆったり動くこともあって遅れがちになると言われております。

いくら寒くても、腕時計は着用する限り体温に依存する!

いくら寒くても腕時計は着用していると温度の高い方、つまり体温に依存しますので、この体温に引っ張られて時計が少し温まります。なので中身がそんなにカチカチになるほど冷え込んでしまうことはまずありません。

実験として、時計単体を氷漬けにして凍らせてみたのでどんな感じになっているのか検証しました。

こちらは機械式時計でブランドはボストークヨーロッパでダイバーズウォッチです。
ダイバーズウォッチなので水に入れることができるんですが、
普通の時計は水にすら入れることができないのでマネしないでください。

一晩中冷凍庫に入れてたので、ガチガチですが秒針は動いておりました。
(ホッ・・壊れてなくてよかった・・)

つまり、固まって止まっているっていうわけではないですけれども
おそらくこれは現時点で精度が高くなっていると思われます。

さすがにタイムグラファーにかけることもできないので精度の計測はできないのですが、若干進みがちになっていることが予想されます。

念のため、他の時計と時間をぴったり合わせていたのですが、少し進みがちになっているのかなというぐらいの精度でした。

このように時計を氷漬けにしているとこの外部の温度に依存しますので、かなり内部も冷え切っていると思います。

ですが、人の腕に着用している限りは人体の温度に影響されますのでそれほどほど冷え切ることはありませんのでご安心ください。
これはいくら寒い中外にいても同じこととなります。

逆に寒いもあれば暑い(熱い)もあるので、時計によって何℃から何℃までの許容範囲というのもあるので、調べていただけたらと思います。

温度の影響を受けにくい素材、時計とは?

温度の影響を受けにくい時計が存在します。
例を挙げますとティソのパワーマティック シリシウムという時計があります。

こちらはシリコン製…シリコンというとよく誤解招くですが正しくは「シリコーン」です。
シリコーン製のヒゲゼンマイを使用している時計で、シリコーンは温度の影響を受けにくいと言われております。

このタイプの時計は寒暖差のある生活の方には良い時計かなと思います。

磁気の影響受けにくい素材は一長一短!

ではこの温度の影響を受けにくいシリコーンヒゲゼンマイを使っている時計の方が良いじゃないか!と思われがちですが、磁気の影響を受けにくい素材というのは一長一短です。

良い面ばかりではありません。
シリコーン製のもちろん金属ではないので温度の影響は受けにくいですが、デメリットは金属ほどの耐久性がありません

私たち技能士はピンセットで時計内部のパーツなど摘まんだりしていますが、シリコーンヒゲゼンマイはピンセットで触ってしまっただけで壊れるほどかなりデリケートな素材になっております。

その為、修理などが必要になったときに修理する技能士は相当な技術が必要ということになります。なのでどの技能士でもできますよ。ということが言えないために、ある程度レベルの高いと言いますか環境を整ったところでやる必要があるので、うっかり町の時計屋さんに時計にメンテナンス出したけれども、「ごめんなさいシリコンヒゲゼンマイがすごく壊れちゃいました」みたいなことがあったりして余計な修理がかかってしまう可能性があります。

この場合どうすればいいかというと、メーカーに送るのが一番ということになります。
ささいな故障でもメーカーに送る必要が出てきますのでメーカーのサポートが確実と言いますか
、確実までは言い切らなくてもかなり必要となる可能性が高くなるということは認識しておきましょう。

なので金属のヒゲゼンマイは磁気・温度の影響というのを受けますが、その分さまざまな技能士でも対応が可能な可能性があります。

これは時計をこれから持つ方の判断となりますので、それを踏まえた上で考えていただければと思います。

本当に時計って買う時ばかりが注目されがちなんですけれども、購入後の維持という方がかなり大事になりますので、その部分も頭の片隅でも置いていただいて考えていただければ選択肢が少し広がるかなと思います。本当に薬と同じで作用があれば副作用があるという風に思っていただければと思います。

なので必ずしも磁気・温度の影響を受けない素材が一番かというと一概にそうとは言えないということだけを覚えていただければと思います。

それでは今回の日曜日勉強会の動画は以上となります。

 

正美堂時計店は、時計知識を深めるため、お客様に正しい情報をお伝えするため、週1度時計に関する勉強会を行っております。 また、新商品入荷など、ライブ配信にて情報をお届けしております。 チャンネル登録お待ちしております。

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