秒針止め機能がついていない時計「ハック機能がない時計」の秒針を操作する方法

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ウォッチバイヤー　専務こと合田圭四郎です。
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今週の時計に関する日曜日勉強会は

秒針止め機能がついていない時計「ハック機能がない時計」の秒針を操作する方法

今回の動画では秒針止め機能、いわゆるハック機能がない時計の秒針の合わせ方についてお話をしていこうと思います。

今回は秒針止め機能、ハック機能、ややこしいのでどちらかに統一しましょう。
ではハック機能でまとめましょう。ハック機能がついていない時計の時刻合わせ、こちらについてお話をしていきたいと思います。

「秒針ハック」とは

現行の時計というのはですね、特にスイス製なんかはそうなんですけれども、竜頭を引くとハック機能といいまして、秒針が止まる仕組みがもう通常です。

5～60年前は逆だったんですけれども、現行の時計はもう当たり前に秒針が止まるようになっているんです。

竜頭を引くと意図する場所で秒針を止めることが可能なんですけれども、それが付いていない時はどうやって合わせるのか、よく懐中時計をお買上げのお客様や正美堂オリジナルウオッチとかですね、あとミヨタとかそういった機械をお使いの方からご質問いただくことがありますので、今回はそういった方の解決方法になればと思ってこの動画を撮影しています。

秒針止め機能はよくわからない、とご質問いただくわけなんですけれども、正直僕もこの業界に入るまではよくわかりませんでした。

どうやってわかったかというと、自分が物を毎日見ることで、撮影をしているので秒針を一定の場所に止めておきたいということがありまして、どうやったらここで止まるんだろうと長年考えた結果、経験でわかったことがありますので、それを実地で今回試してみたいと思います。

それより前にまず知っておくことがあるわけなんですけれども、機械式時計には日差というものが発生します。

日差が何かと言いますと、1日に発生する誤差。
なので1日は通常24時間なんですけれども、必ずしも時計は24時間で動いているわけではないんです。
実際のところこの24時間の時計だってそうなんですけれども、時計だけでなくこの暦自体も実は24分割できてなくて、なので閏年という日が設けられていたりするわけなんです。

この時計、それとは関係なしに24時間で2周というわけではないんです。

ちなみに、電波時計の場合というものはだいたい夜中、午前2時あたりでしょうか。人が通常活動しない時間帯に電波を受信して秒単位で正しい時間まで合わせるという仕組みになっております。

なので電波時計はいつでも正しい時間を指しているわけなんですけれども、機械式時計はそういうわけにもいかず、やはり1日動かしてくると何秒か誤差というものが発生してしまいます。

よくお買い上げのお客様とかまあそうじゃない方からもよくいただくんですけれども、秒単位で合わせたいということでですね、僕はそれで絶対に決まり文句と言いますか、返している言葉が「合わせてもいいんですが、翌日には狂っていますよ」というふうには返しているんです。

それでも合わせたいという方もいらっしゃるので、今回はそういった方にお役立てできればなと思います。

それではさっそく時計の方合わせながらお見せしたいと思います。

秒針ハック機能がない時計の秒針を止めるには

こちらに時計を3本用意しました。

一つは「Rotary（ロータリー）」ですね。そちらと正美堂オリジナルウォッチ、またこちらも正美堂オリジナルウォッチ、僕の私物ですね。こちらを用意しています。
今のところ若干動いているんですが、時刻の方は基本止めた状態にしております。

それではせっかくなので見ていこうと思うんですけれども、通常秒針止めハック機能というのは、今秒針が動いている状態ですが、リューズをこういうふうに引き起こすと止まります。が、今回ご用意したモデルというのは止まらない仕組みになっています。

なので今ずっと動く続けているんですけれども、まず前提としてやるのは、一度ゼンマイが動かなくなるまで放置しておきましょう。
だいたい通常の機械式時計ですと40時間くらいですので、丸2日放置しておくと止まっていることがほとんどです。

なのでそこからスタートすることがまずいいんですけれども、今これもですね僕もほとんど巻いてません。
テンプ輪の動いているのが今止まりましたね。単に振動で動いただけの状態となっています。

なので今秒針は止まりました。これを12時ちょうどの位置に持っていきたいという目的で進めていこうと思います。

今リューズを引いている状態なんですが、少し進めます。
いわゆる時計回りに竜頭を回すと、ユニタスの場合は動くんですけれども、今若干動いております。

動いているのでテンプはどうなっているかと言うと、テンプ輪があんまり躍動感なく動いています。
もっと本当はいきいき動いているんですけれども、のんびり動いています。

そうこう言っているのにあと10秒ぐらいになりましたね。
そろそろ止める準備をしていきましょう。この場合逆回しなんです。
今止まりましたね。もう一度進めます。

こういう風に微調整をしながら、これで今12時になったという状態です。
ちょっと進みましょうか。気持ちなんですけどね。
結構時計の針ってこういう風に見ると繊細に動きます。

今これで12時の方向を指しているので、12時位置に来ましたよ、ということです。
あとはお手元にスマートフォンとかタブレット、パソコンで正しい時刻を表示しているもの、こちらを用意しておきます。

その時計と時、分を合わせて、はい今から、という時にもう一度竜頭を回すことによって動き出します。
せーの、で動かすと動き出しましたと。この時にですねリューズを元の状態に戻しまして、あとはもうゼンマイを巻いてあげるんです。

この手順でやりますと秒針は同時にスタートできるということになります。
もうある程度巻きましたけれども、せっかくなので満タンまで巻いておきましょうか。

ちなみに、最初に止めた状態で巻くという風に説明をしたわけなんですけれども、なぜかと言いますと、今この状態で秒針を操作しようとしても、反対に回しても動くわけです。

つまり止めることができないんですね、ゼンマイの張力がない状態、緩みきっている状態でやると秒針は合わせやすくなっているんです。
こういった時に合わせておくと動かしやすいんですね。くれぐれもゼンマイを巻いている状態ではやらないようにしましょう。

こちらもそうですね、こちらも現在止まっている状態です。
竜頭をですね、もちろん動きますので、時計をちょっといいんです、本当に少し力を加えるだけで動きます。おもむろに巻かずともわずかな力で動いてくれるのはこの針なんです。こういう風に逆回しにすると止まりました。

まああんまり力はないので止まっているんですけれども、たまに逆回転で少し動いたりしますが、そこは微調整でやってみてください。

もう1回12時を目指してやってみましょうか。
このような感じで竜頭、いや本当にわずかに押してるんですよ、ほぼほぼ押してない。
分針がほぼ動いてないぐらいですからね。それほどゆるくやっています。

そろそろ反対側にして、ゆっくり調整していきます。

こういう風に反対の力を加えることによって秒針というのは融通きかして動いてくれるんです。
そうこう言って間に12時方向で止まりましたと。

ここから戻して巻くのも良いんですけれども、今止まってる状態から巻くわけで、何回転かはすぐ動いてくれません。なので時刻調整の状態にしてまた進めて、時報などと一緒に合わせて同時に動き出すということがやりやすさとなります。

こちらは次、自動巻きなんですけれども、ミヨタ。
ミヨタの機械なんかは、後はマニュファクチュールの機械なんかは、ハック機能自体が付いてなかったりします。

ミヨタはわざとスケルトンなムーブを選んだわけなんですけれども、少し回すだけ、少し時刻を進めるだけですね。
このミヨタの機械の場合はですね、反時計回りますと秒針が動き始めます。

このようにして動かして、時計回りにちょっと力を加えると止まります。
ミヨタの場合、割とこの合わせるときが難しくて、今もこれでテンプ輪が止まり切りましたが、竜頭を戻すと、たまにピョンと針がジャンプするんですよ。

今回はうまくいってますが、たまにちょっと本当に何秒間だけ秒針が動いてしまうことがあるんです。
このように見てわかる通り、これぐらいほとんど力を加えてないのにテンプ輪は元気に動き出します。

ミヨタとかはこういう特徴があります。スイス製はあんまりこういうのはないんですけれども、これではほぼ秒針は12時方向で合ったということになります。

こういったムーヴの場合は、割と大雑把にやることをお勧めします。

秒針を合わせるメリット

いかがでしたか。
あのように微調整をしながら針を動かすことで秒針は動いてくれます。

通常そのハック機能がついてる時計というのはリューズを引いた時点で動きませんので、いくら竜頭を回転させても動かないわけなんですけれども、こういったようにハック機能がついていない時計というのは竜頭を回すことによって秒針が固定されていないように動きますので、微調整が可能ということになっています。

最後に、この秒針を合わせるメリット、こちらについてお話をしていきたいと思います。

機械式時計にはですね日差というのがあります。
職業別で考えていただくと、車を運転されている方はだいたいこの姿勢とかですね、ハンドル上に待ってる方はこういった状態とか、だいたいその性格のパターンというのが人によって決まっています。

逆にいうと人によって異なるんです。
同じ職種でも手の位置が固定されている位置が違う方が多いです。

結構共通しているかなと思うのはキーボードに手を置いている方なんかはだいたい向きっていうのは一律になってきます。

どの姿勢が多いのかということを把握していく必要があるんですけども、ここで関わっていくのは姿勢差というものになります。

文字盤が上の状態と文字盤が下の状態、テーマ本逆の状態の方ですけリューズが上の状態という風になっても
この精度というのはどうしても姿勢差で変わってきます。

トゥールビヨンはまた違うんですけれども、こういった姿勢差がどうしても発生するわけなんですが、これが人それぞれ違うんです。

自分の日差というのはどれぐらいなんだろうと把握したい人はぜひ秒針を時報と合わせて1日過ごしていただきたいなと思うんですけれども、それがあることによって自分の生活は一体この何分の日差を与えているんだろうという目安がわかるわけです。

目安が分かる人によってですね、だいたい時計というのは正美堂時計店の基準としてもプラマイ20秒が1日の日差しては正常範囲と定めています。

なので先ほど言いましたプラスマイナスということはマイナスも入ってくるわけです。姿勢によっては。
なのでこの遅れとかちょっと出てくるわけなんですけれども、そういったものをこの秒針を合わせて1日過ごすことによって把握ができると。

ああ、ちょうど10秒を狂ったな、みたいな。じゃあ僕の生活いうのはそれぐらいの日差なんだな、というのが理解できる、そういうためにですね、合わすことをお勧めするんですけれども、日常の生活で時計をつける時にですね、つけるために秒針を合わせるというのは正直お勧めしません。

最初に言ったように日差が発生する以上は翌日には狂ってしまうわけです。
翌日に狂ってしまうものはまた翌日合わせていくと、ほんとめんどくさい話で、だんだん嫌になってくるから、たまにと言いますか、測りたい時でいいのかなという感じです。

ぜひ日差を知りたい方はこういう風にして測って頂ければと思います。

またあとはですね、活動範囲が広い方、今日はデスクワーク明日は現場作業みたいな感じで色々なダブルワークされている方なんかもそうだと思うんですけれども、こういった方はですね一定の誤差になりにくい可能性があるので誤差が広がると。

それでプラスアルファーやたら遅れるなとか、やたら進むなっていう現象が起きた場合は、磁気が入っているという疑いもかけられますので、そういった感じで見て頂くとご自身の時計の性格と言いますか、結局自分自身の性格なんですけれども、それが理解できるかなと思います。