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ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
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今週の時計に関する日曜日勉強会は
機械式時計を持つなら知っておきたい、ムーブメントのグレードについて。
今回の動画では「知っておきたいムーブメントのグレード」、こちらについてお話をしていきたいと思います。
機械式時計のムーブメントというのは同じキャリバーなのに価格が違っていたり、見た目が違っていたりと異なっていることが多いです。
一体どういった違いがあるのか。
今回は、9月4日に行いましたライブ配信でユーザーの方よりご質問頂きましたので、今回はより詳しい話をこの動画内でしていきたいと思います。
実際に手巻きムーブメントを例に今回お話ししようと思いますので、最後までご覧ください。
ムーブメントのグレードとは
まずここで説明しておきたいのが、今回は「ユニタス」など手巻き式をベースにお話をしますけれども、同じムーブメントでも違うグレードが存在するということをまず理解しておきましょう。
まず、この手巻き式ムーブメントには4つのグレードが存在します。
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どんなものがあるのか、まずこちらですね。
上から順に「スタンダード」、スタンダードという言葉の通りです。そのまんまなんですけれども、普通の仕上げと言いますか、レギュラー的な仕上げ、特に装飾も派手なものではなく通常バージョンという風に思って頂ければいいんですけれども。
はいこの次、「エラボレート」。
『入念な』というような意味の言葉なんですけれども、このエラボレートというのは一つグレードが上がったものとなります。
見た目には違いが出てきますので、後ほどお見せしようと思います。
そして「トップグレード」。
トップブレードというと、その名の通りグレードが1本上に上がったものになるわけなんですけれども、これは見た目に限った話ではありません。
見た目はスタンダードぽく見えても中身がトップグレードという場合もあります。
そして最後ですね、「クロノメーター」。
クロノメーターと聞くと時計を好きな方はだいたいわかるかと思います。
世界でもトップレベルの時計の基準「ジュネーブシール」と並ぶトップの基準なんですけれども、このクロノメーター規格をクリアするには相当な長い期間と厳しい基準の試験をパスする必要があるということになるので、だいたい安く手に入る場合はこのクロノメーターの場合はないです。
ちなみにビンテージとか、数十年前の時計でクロノメーターと書かれているものは必ずしもこれと同じ基準ではないということですね。
なのでそれは理解しておきましょう。同じ基準で検査をしているわけではないということです。
ムーブメントのグレードによる違い
それでは、物の方を見ながらお話をしていきたいと思います。
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こちらに3つのタイプを用意しました。
ほんとはクロノメーターまで揃えたかったんですけれども、今回は物がなかったのでこちらにある3つのタイプでお話をしていきたいと思います。
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まず左から順に、こちらは「ユニタス6497」のスタンダードなモデルになります。
スタンダードなので装飾的なものはほとんどないんです。
ネジもシルバーカラー、そしてコート・ド・ジュネーブなど装飾もないです。
こういった感じでこれが普通の仕上げですね。最もスタンダードなもの。
たまに「ハンマーパターン」といって、古い時計で文字がでこぼこになっているようなタイプなんかもあったりします。
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そしてお次、こちらですね。
同じくユニタスの6497なんですけれども、こちらはエラボレート、つまり手が加えられているものということなんですけれども、仕様としては見た目でわかる通りブルーのネジやコート・ド・ジュネーブ仕上げということになります。
こちらはきちんと手が入れられているモデルなので、正美堂でも最も販売するパターンが多いのはこのエラボレートなんですけれども、こちらモデルになります。
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そしてこちら。
こちらはユニタスではないんですが、今現在正美堂時計店がこれから力を入れていこうとしている、ユニタスと互換性のあるスイスムーブです。
こちらの手巻きムーブはトップグレードということになっております。
このトップグレード、一体どんなものが違うのかと言いますと、実はこの見た目に違いが正直わかりにくいんですけれども、エラボレートとトップグレード。
このパターンとしてはパーツの構成として、このスタンダードとエラボレートは同じになります。
何が違うのかというと、要するに仕上げが違うということになります。
じゃあこのエラボレートとトップグレード、何が違うのかと。
トップブレードは先ほども言いましたスタンダードと同じ見た目も存在しますけれども、このようにこのスタンダードではなくエラボレートタイプのこのトップグレード、こちらの場合何が違うのかというと実は、根本的に違うのがテンプ輪の存在になります。
テンプ輪が通常タイプはニッケルなのでふつうのモデルですとこちらのニッケルなのでシルバーカラーなんですね。
ですがこちら装飾されているということもあってですね、おそらくこのニッケルをゴールドに塗り替えられているということになります。
なので見た目にはわからないんですけれども、実はこの色で判断するとよりわかりやすいかと思います。
ニッケルが使われているのがスタンダードとエラボレート。
そしてトップグレードの場合、これがテンプ輪に使われている素材がこちら「グリュシデュール」というパーツが使われています。
こちらもとからゴールドカラーのパーツなので色はそのままなんですけれども、グリュシデュール、何が違うのかといいますと、グリュシデュールの方が温度による影響を受けにくいと言われています。
なのでこのトップグレードはもちろんのこと、トップグレードと同じパーツ構成であるクロノメーターもこちらのグリュシデュールが使われているということなんです。
なのでこちらの場合、見た目には正直違いがわからないんですけれどもトップグレードとかクロノメーターっていうのはグリュシデュールが使われているので、温度の影響を受けにくいテンプ、そしてエラボレートとスタンダードはニッケル素材が使われています。
この場合、そこまで大きい差はないんですけれども、若干なりとも温度の影響を受けると言われています。
その代わり、若干お安く手に入れやすい可能性があるということですね。
トップブレードとかの場合、やっぱりそれなりの値段になってしまうということになります。
現在正美堂時計店では、こちらのトップグレードに力を入れております。
なぜかと言いますと、先ほど言いましたこの温度の影響を受けにくいですとか、スペック的にも高いということからこちらのモデルを今一番オススメしております。
やっぱりこう2020年問題からですね、ETAの機械は、ユニタスはですね、本当に僕はユニタスが大好きでこの業界に入ったときに初めて持ったのもユニタスなんですけれども、どうしても値段が上がりすぎまして、でそれならばとですね今回この全部値上げしようとも思ったんですよ、この正美堂時計店のオリジナルウォッチですね。
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現在こちらに入っているのがこのモデル。こちらのトップグレードを使っているわけなんですけれども、お値段のほうがそんなに変わらず提供できるということで、どうしてもこのETAの方はもう上げざるを得なくなったということです。
でETAと言いますか、ユニタスを使っていながらスタンダードで値段を上げざるを得なくなってしまったというのはどうしても歯がゆいところがありまして、やっぱりこうせっかくなのでトップグレードとかそういった性能的にも上がりつつ値段を抑えられるものがいいのではないかということで、今回はこちらのトップブレードのムーブメントを使用しております。
ちゃんとスイス製ですので安心感といいますか信頼感は十分あるかと思います。
最後に
いかがでしたか。
見た目の違いってちょっとわかりにくい場合もあります。
ですがだいたいテンプ輪がシルバーカラーであればニッケルなので、スタンダードというような判断をして頂ければと思います。
またネジの色とかコート・ド・ジュネーブになっているかなっていないかとか、そういった装飾面での違いなんかもあるとより見分けやすいかと思います。
これでまとめ、最後に行きたいと思うんですけれども、言いたかったこととしては、グレードの高いムーブがいいと一概に言いたいわけではありません。
きちんと精度を出してムーブメントが見えない状態、裏蓋が付いた状態であればスタンダードでも正直違いは分からない時があったりします。
クロノメーターは別です。なのでクロノメーターを選びたい場合はきちんと精度もそれなりに出しているところでないとダメなんですけれども、時計は好みといいますか、その趣旨にあったものでムーブも一緒に合わせて選んでもらえればなということを今回言いたかったです。
まぁ実際、先程も言いましたこの2020年以降、あらゆるブランドでこれまで当たり前のように使われていたETAのムーブは使われなくなってきております。変更せざるを得なくなったと。
引き続きETAが使える条件というのもありますので、それを飲んでるところなんかは値段に反映させたりなんかもしながら続けているところもあるんですが、もうこれも永遠ではないんです。
いずれは変わらざるを得なくなってくるんですけれども、これからセリタとかユニタスも変わらざるを得なくなってくるかと思いますので、色々過渡期な部分ではあるかなと思うんですけれども、時計を選ぶユーザー側もある程度知識を付けておく必要があるということになります。
これからの時代は時計を使うユーザーもそういったことを理解した上でどういったモデルを選ぶのかという選択をして頂ければと思いますので、より後悔のない時計に巡り合って頂ければと思います。
正美堂時計店は、時計知識を深めるため、お客様に正しい情報をお伝えするため、週1度時計に関する勉強会を行っております。
また、新商品入荷など、ライブ配信にて情報をお届けしております。
チャンネル登録お待ちしております。
正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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