いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき 誠にありがとうございます。
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ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
Thank you for watching.
今週の時計に関する日曜日勉強会は
機械式時計を持ちたいと思っている方に知っててほしい「意外と知られてない秒針止め機能(ハック機能)の凄さ」。
今回もリクエストを頂戴しております。
スムース様、ありがとうございます。
ハック機能がある時計を教えて頂きたいです。
大体の時計は、竜頭を引くとその瞬間に
秒針が止まることが多いですが、
19セイコーは12時の位置になったら止まります。
私はこの機能は好きなのですが、
他にも似たようなハック機能が搭載された時計はあるのでしょうか。
そうですね、僕もそれで気になっていくつか調べたんですけれども、またの内容の方でこれは述べるんですが、なかなかこの機能はないと言いますか、いかに19セイコーが秀逸かっていうことですね。
今回、逆に19セイコーの魅力を語る回になってしまうと思いますけれども、それほど素晴らしい機能だと思います。
他にない秒針止め機能の魅力についてお話をしようと思います。
秒針止めというとなかなか伝わりづらい言葉になりますので、認知度が高い言葉で説明すると「ハック機能」、よく雑誌なんかでもハック機能と書かれていたりしますし、一般的な時計屋さんの店員さんもハック機能と明することが多いです。
今回なぜこの動画をやるかといいますと、これから機械式時計を持ってみたいなと興味を持っている方に聴いて頂きたい話となっておりますので、時計の新たな魅力に気づけていただければ嬉しいです。
「ハック機能」とは?
このハック機能なんですけれども、時計の実用性を高めたといえる機能なんです。
どんなものかといいますと、そもそも秒針止め機能というところからお話をしていこうかと思います。
機械式時計の秒針というのは、りゅうずを引くと止まるというのが現行の機械ではもう当たり前になっておりますので、カレンダーが付いていると2段階、カレンダーがないと1段階引くと止まるということになっております。
動き続けるものと止まるものに分かれていくわけなんですけれども、なぜ秒針止めというものを使う必要があるのかというのはまず一つ、機械式時計には「日差」というものがあります。
日差とは何かというと、一日に狂ってしまう誤差、まあスイス製の機械式時計で言うと正美堂時計店で定めている基準としてはプラスマイナス20秒以内は正常範囲の誤差と定めているんですけれども、この日差が発生することもあってあまり、機械式時計においては私たちとしてもそんなに重きをおく必要はないよという風には説明しているんですけれども、やはり合わせたい方も多くいらっしゃいますので、秒針を時報とぴったり合わすという方はこういった機能を使うことが多いです。
このハック機能というのはなぜ流行ったかと言いますと、それには理由がありまして、まず1つは戦争なんですね。
軍事用途で時計が発展したことは多くありまして、第二次世界大戦時では、現在は今誰しもが持っているスマホを見るとですね、全員同じ時刻をきちんと指しているわけなんですけれども、一昔前はそういったこと
もなく、それぞれの時計の日差によって誤差が発生していました。
つまり共通の時間ではなかったという話なんです。
それを可能にしたのがこの秒針止め、つまりハック機能としまして、秒針止めを全員が秒針を12時位置に合わせて、せーのでハックとスタートさせた、これがいわゆるハック機能の語源と言われていますけれども、この秒針止め機能というのはこういった実用性から生まれています。
他の例で言いますと、やっぱり時間に正確な仕事、ここで大きく関わってくるのは鉄道なんですけれども、時間の誤差によって1分狂えば相当な誤差ですし、10秒違うだけでも結構事故につながりかねないというのはこの鉄道のリスクなわけなんですけれども、そういったことから鉄道時計から採用された機能でもあるかなというところです。
どんな構造になっているのかというとですね、通常僕がいま使っているユニタスの6497はハック機能は付いておりません。
つまり秒針を止めることができないわけなんですけれども、昔の時計はそれが普通でした。今でも出回っているアンティークとかヴィンテージものは備わっていない時計が多いです。
秒針止め機能の仕組み
ひと口に秒針止め機能と言いましても、どういう構造になっているのかと言いますと、りゅうずを引き上げることによって中身の、まあ例えばボールウォッチですね。
鉄道時計として有名なものといえばボールウォッチなんですけれども、りゅうずを引くと内部のレバーが連携して動くわけです。で、病身の裏側にある四番車、こちらをピタっと押さえて止めるわけです。
他にも、秒針止め機能が付いていたものでいうとキングセイコーなんかも確かあったと思うんですが、これも面白いレバーがですについて独特の機械になっているんです。
ぜひ気になる方は調べてみることをお勧めします。独特な形状をしてまして、通常の手巻き式ムーブメントをご覧の方で大体何となしにどれくらいかなあってわかってくるかと思うんですけども、プラスアルファのレバーとか複雑な機能がついて秒針を止めるような連携をしているんです。
そういったことを知ってくるとまた時計の面白みってわかってくるんですけれども、その中でもとりわけ面白いと思うのは僕は19セイコーです。
すごく機能的にもこれは画期的な構造だなぁと個人的には思っております。
他にも現行の時計で言うとETAとかセリタにも当たり前に秒針止めはついてまして、これなんかもこの「オシドリ」というパーツがあるわけなんですが、オシドリに連携したレバーがテンプ輪を止めるという風になってるんですけども、先ほどまで言いましたこの19セイコー以外の時計、こちらにすべて共通して言えるのがリューズを引いた時点で止まるということになってるんです。
ただ一つ19セイコーが異なってくるのは、りゅうずを引いてもその場で止まらず、12時位置まで針が動き続けて12時位置で秒針がストップするという機能になっているのが19セイコーの面白いなんですけれども、こちらは後ほど現物の方をお見せして行こうと思います。
19セイコーのユニークな秒針止め機能
seikoの場合は「セコンドセッティング」と呼ばれています。
19セイコーの後の方のモデルには出ているんですけれども、これは本当に面白い機能です。
それでは実際に現物の方を見ていきながらお話をしようと思います。
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こちらが19セイコーになります。
世界に誇る、昭和の日本の鉄道に多大な貢献をした19セイコー。
本当にこれによって世界でもトップクラスの正確さを実現したんじゃないかと言える時計ですね。
文字盤の6時方向には「SECOND SETTING DIAFLEX」と書かれています。
全部が書かれているわけではないんですけれども、この正美堂で特に力を入れている後期型の19セイコーにはだいたいこのセコンドセッティングが使われています。
現在のこの時点では今止まっておりますので、ゼンマイを巻いて動かしてみましょう。
満タンまで巻かずともとりあえず動くことを今試しているわけなんですが、表面から見てもこのように動いております。
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裏面を見るとこのように。
これだけ美しいムーブメントが見えないというのが残念な気がしますけれども、それがやはり日本の古き良きものづくりの今にも続いている信念なのかなと感じたりします。
それでは、どのような機能になるのかまずこちらの秒針止めの機能を作動させてみましょう。
ということでリューズを引いています。
今現在両親止めは作動しておりますが、見ての通り秒針は動いております。
では裏面がどのようになっているのかというと、今回は虫眼鏡を置いています。
今動いてますね、動いてますけれども、はい今秒針を司るこの4番車が止まりました。
つまり表綿はどうなっているか。秒針が12時位置で止まっている、こちらになってます。
どのようにこれを行っているのかというと、すごく細いんですけれども、この四番車の後ろに突起があって、それとレバーがかみ合っているのが見えると思います。
今回は見づらいかと思いますので虫眼鏡を用意しましたが、多少なりともこれで解決はされていると思います。
このように、レバーで抑えている状態となります。これが19セイコーの秒針止めの機能できっちり12時位置に止まるという風になってるわけなんですが、これをでは最後に動かしてみましょうということで秒針をまた戻しますと動き始めます。
せーので行きますので、ご覧ください。
今このりゅうずと連動しているレバーが動いて秒針が再度動き始めました。
それを止めていたというのがこの秒針止め機能です。セコンドセッティング機能が作動していましたが、今は作動していないので動き始めております。
最後に
いかがでしたか。
あのように19セイコーというのはりゅうずを引いて12時位置まで秒針が動き、12時位置で止まる。
先ほどの19セイコー以外の秒針止め機能というのは竜頭を引いた時点で止まる、これが普通の秒針止め機能なんです。
けれどもこの19セイコーのセコンドセッティングは秒針を引いて12時位置まできちんと動くようになっているというのが特徴なんです。
たったこれだけなんですけども、全然違います。例えば朝出勤をして社長さんがですね、ゼンマイを巻いて朝礼の時点で「せーの」でボタンを押すことで全員が同じ時間を共有できる。
これがこのセコンドセッティングの最大に便利なところと言えます。
ぜひ、こういった機能、まあ今現行の機械式というのは秒針止め機能自体はついているわけなんですけれども、このように19セイコーなんかは面白い機能ですのでぜひ実物を見ながらそういうのを知って頂ければと思います。
正美堂時計店は、時計知識を深めるため、お客様に正しい情報をお伝えするため、週1度時計に関する勉強会を行っております。
また、新商品入荷など、ライブ配信にて情報をお届けしております。
チャンネル登録お待ちしております。
正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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