いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき 誠にありがとうございます。
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ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
Thank you for watching.
今週の時計に関する日曜日勉強会は
時計って、そもそもが磁気に強いのか?時計 耐磁性についてのご質問。
今回の動画は、時計はそもそも磁気に強いのか、こちらについてお話をしていきたいと思います。
身近に磁気を発生する電化製品に囲まれた現代、時計の耐性は必要不可欠と言っても過言ではなくなりました。
いつ磁気帯びをしてもおかしくないので、今回の動画では耐磁性についてご質問のメールを頂きましたので、そのメールを解説しながらお話をしていきたいと思います。
今回メールを頂戴しております。
自動巻ビギナー様、ありがとうございます。
いつも時計のことの知識を教わりありがとうございます。
さて気になることがありますので教えてください。
自動巻き時計は磁気に弱いので耐磁性能がありますよね?
例えば4800A/mみたいな。
ところがメーカーのホームページを見ているも
製品スペックに耐磁性能の記載が
ないところが多いんです。
こういう場合は、その製品の耐磁性能は
いくらなのでしょうか?
また表記上の決まりのようなものはあるんでしょうか?
宜しくお願いします。
因みに現在、国産のダイバーウオッチを
利き腕の右腕にしてます。
スマホを左手で持つことが多いので
喋りながら時間を見るのに便利なので。
耐磁性能は全部の時計に備わっているわけではありません。
それは後ほど解説しようと思います。
表記の決まりというのは、A/mとかガウス等がだいたい決まっているかなというところなんですけれども、時計を右腕にされてスマホを左手に持つことが多いと、僕みたいに両方持つタイプの人間は常に磁気のリスクにさらされています。
なので僕は定期的に磁気抜きをしている派です。
もう一方リクエスト頂戴しています。
きよみちゃーん様、ありがとうございます。
いつも楽しみに日曜日勉強会を拝観しております。
さて本題に入りますが正美堂さんで扱います
時計の中で耐久性・視認性・耐磁性に
優れた時計を紹介していただけないでしょうか。
やっぱり、何をもって耐久性が高いかによります。
例えば水に強いとか、それも耐久性の一つとなりますので、視認性・耐久性・そして耐磁性、ここまで言えばもう限られてきます。
やはりオリスのキャリバー400は今現在ではかなり最強クラスじゃないでしょうか。
パワーリザーブが長いということももちろんなんですけれども、磁気に強いのも一つの取柄かなと思います。
時計のムーブメントには耐磁性が備わっているのか?
それでは、時計のムーブメントにはそもそも耐性が備わっているのか?こちらについてまずお話をしていこうと思います。
時計のムーブメントは大きく分けるといくつかの種類になってきます。
まずデジタルクオーツ。そしてアナログクオーツ。それと機械式時計。手巻きも自動巻きも両方入りますので、大きく分けるとこの3つ。
後もう一つ入れるとしたら、アナログとデジタルが融合した「アナデジ」、デジアナと言いますけれども、この4種類がだいたい時計の大きく分ける種類になります。
この中で、磁気をほとんど気にしなくていい時計があるんですが、そちらは一番最初に出たデジタルなんです。
デジタルはほとんど磁気の影響を受けません。なので一番磁気に強いといわれる時計ではあるんですけれども、その他はやはりどうしても内部に金属製のパーツを使っていることがあるので磁気の影響は、磁気を与えればなんですけれども、必ず影響されてしまうというところになります。
なので、アナログの機械式時計とかクオーツもそうですけれども、磁気を気にする必要があるということだけはまず覚えておきましょう。
時計は耐磁ではない
次に「基本的に時計は耐磁ではない」、こちらもまず知っておくべきことなんです。
時計ブランドの公式サイトを見ると、耐磁性を推しにしている一部のモデルを除き、そういったモデル以外は
耐磁性の表記というのはほとんどありません。
一部のタイプと先ほど言いましたけど、あとはダイバーズウオッチなんかもそうなんです。
つまり、時計というものはそもそも磁気に弱いんです。
だからどこが弱いのかと色々僕も考えまして、ムーブメントはどうだろう、と思いましたのでまず一番汎用性が高いETAとセリタの公式サイトを見てみました。
よく一般的に使われるETAのキャリバー2824、あとはセリタのキャリバーSW200、このもっともポピュラーな機械を見たんですけれども、もちろん耐磁性についての表記はなかったんです。
つまりムーブメント自体は耐磁はできない、できないと言いますか、キャリバー400のようにしているものもあります。
シリコン製のヒゲゼンマイを使ったりとか、30以上もの非金属製パーツを使ったりとかで磁気に強いモデルではあるんですけれども、磁気帯びしないわけではないということをまず覚えておくべきなんです。
つまり時計は必ずしも磁気をするという風に覚えておいた方が間違いないでしょう。
しかも、ムーブメントは特に丸裸の状態ですと磁気の危険にさらされてきます。
ムーブメント単体で用いることはないと思いますけれども、磁気には弱いということを認識しておきましょう。
基本的に、磁気に強い時計っていうのは外装パーツで決まります。
収納されるケースとかですね、そういったところで磁気をどれだけカバーできるのかというふうに変わりますけれども、キャリバー400みたいにムーブメント自体も磁気に対応してダイバーズモデルと言われますので、そういったモデルが割と強いかなと思うんですけれども、だいたい普通の時はそんなことはないですね。
やっぱり磁気っていうのはどうしても気にしてしまう、気にしておくべき要素なんですけれども、周りにはスマホがあるしテレビがある、人によってはスピーカーもあるし、もちろんねスマホにもスピーカーが付いてますので、常に磁気を持ち上げてるみたいなものです。
磁気に対応するにはどうすればいいのか
そういった場合どう対処すべきかということを考えると、「磁気に強い時計を選ぶ」これも一つの選択肢となります。
もしくは定期的に磁気抜きをするとか、磁気の影響受けない時計、こちらを選ぶことによってあまり気にしなくて良くなります。
今「あまり」と言いましたけれども、それがその通りで、全然気にする必要は無いわけではないです。
磁気の基準にも「第一種」「第二種」とありまして、第1種ですと5センチは開けないといけません。
5センチ以上の距離を保っておくと安全に使えますよ、ということなんですね。
第二種というものもあります。こちらはさすがに凄くて、1センチ以内までであればOK。
1センチ以上離してくださいということなので、ほぼほぼ近くにおいても影響はないというふうに言われているモデルとなります。
だいたい磁気に強いといわれる時計が第二種くらいのものですかね。
なのでそこを避けていただくと大丈夫かなというところなんですが、耐磁性に優れた時計の場合、こういった基準をクリアしているものを選ぶことで…。
ただですね、どうしてもその耐磁性が高いモデルって全部ではないので、一部のモデルとして選択肢はどうしても狭くなってくるのがデメリットかなと思います。
あとはもう一個、時計全般でもいいんですけれども、対応するということで磁気抜きを定期的に行う。
どうしてもスマホを持って、僕なんかも両手してますから、左手で電話をする時点で磁気の危険はさらされているわけです。
その場合、やっぱり定期的に磁気抜きをするというのが一つの対応策になります。
我々時計店は磁気抜き機というものを持っていますので、磁気を抜くことができるわけなんですが、そういうふうに承ると、やりますっていうふうに磁気抜きを行うことができるので、ただし、ずっと磁気を帯び続けていて細かい部分まで磁気帯びしたものっていうのは不可能になります。
その場合は磁気を抜いても全然抜けないということが分かりますので、「お客さん、これ多分内部の針とかまで磁気入ってるんじゃないですかね」っていう風に説明するんですね。
その場合、針だけ抜くには分解するしかない。分解した後各パーツを磁気抜きしなければならないので、ほぼオーバーホールと同じ工程が必要になるということになるんです。
なので、その場合はもメンテナンスとしてお預かりして対応するというのが普通の対応になりますね。
なので、磁気を溜めないように定期的に磁気抜きを行うことで防げるかと思います。
もちろん定期的にやっていましても、スマホとくっつけておく、なんてことをしてたら磁気は完全に帯びますので、それはもう論外というふうに思っていただくといいんじゃないかなというところですね。
磁気対策にダイバーズウォッチという選択
あとはもう一個の方法としては、ダイバーズウォッチを選ぶということです。ダイバーズウオッチと言いましても、ダイバーズ風の時ではありません。
ベゼルがついて、防水性が高ければダイバーズというわけではないんですね。
ダイバーズウォッチにはISOの国際規格というのがありまして、まずこちらをクリアしている、もしくは日本の基準であるJIS規格、こちらをクリアしているかによってそのダイバーズウオッチの基準が決まっています。
だいたい最低限がその第1種の基準になりますので、5センチ以内は大丈夫ということになります。
それをクリアしているモデルを選んだらまあ安心して使えるかなと思うんですけれども、先ほど言ったようにダイバーズウォッチ風のものを選ぶと全く関係が無いです。
詳しくは、時計を買う時にお店の人に聞くのが一番かと思います。
それを選んでクリアしているモデルであれば安心して使っていただけますよというところになります。
ぜひ調べた上で、っていうことをお勧めします。
なのでこのように対応することによって、磁気とは上手く付き合っていくっていう考え方を持った方がいいです。
磁気からですねシャットアウトするというよりは、磁気とうまく付き合う。
これだけ電化製品に囲まれてますし、首都圏とか人が多い所であれば電車なんてのも磁気の塊です。
なので磁気から自分を切り離すことはまず無理なんです。
うんと人里離れて電化製品からも離れて原始的な生活をする以外は、もう磁気は必ず近くにありますので、それは受け入れて生活することをお勧めしすすめします。
磁気の対応はそれぞれ色々選択肢もあるかと思いますので、考えて行動していただければなと思います。
正美堂時計店は、時計知識を深めるため、お客様に正しい情報をお伝えするため、週1度時計に関する勉強会を行っております。
また、新商品入荷など、ライブ配信にて情報をお届けしております。
チャンネル登録お待ちしております。
正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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