いつも正美堂時計店(ショウビドウ)をご覧いただき 誠にありがとうございます。 https://www.youtube.com/user/syohbido0512
ウォッチバイヤー 専務こと合田圭四郎です。
Thank you for watching.
今回の動画は
「今と違う!江戸時代の時刻 ~不定時法って何ぞや?~」
というお話をしていきたいと思います。
よろしくお願いします。
「今と違う!江戸時代の時刻 ~不定時法って何ぞや?~」
現代は1日を24時間で表示する「定時法」が使用されております。
それ以前は「太陰暦」を使っていましたが、明治から「太陽暦」に変わり
明治6年1月1日からこの定時法というのが取り入れられています。
※「太陰暦」月の満ち欠けの周期を基にした暦(暦法)。
※「太陽暦」地球が太陽の周りを回る周期(太陽年)を基にして作られた暦(暦法)。
ではそれ以前はどのような時間の過ごし方をしていたのか?と言うところを
今回の動画でお話をしていこうと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
定時法とは?
まず、定時法からご説明します。
定時法とは、現在の時刻表示方法で1日24時間に分割して時刻の表示をしているというものになります。
季節変動なく、常に一定で必ず同じ時間帯を表示しており、
明治6年元旦より使われている時法です。
大体12時間で1周するもの、
つまり24時間で2周する時計が一般的な時計となっております。
不定時法とは?
お次に不定時法とはなにか?
不定時法とは日の出と日没を基準にした時法となっており、
四季がある日本独特の時間表示方法となります。
何が独特かって言うと季節変動で時間の読み方が変わるというところなんです。
一刻(いっとき)と言いますが、一刻で約30分とされており、
季節と昼夜によってこの一刻というのは実は変動します。長さが変わってくるんですね。
もちろんこの時代、普通に暮らしている一般の庶民は時計というものを持っておりません。
では何を基準にしていたかというと、お寺からなる鐘なんですね。
現代では鐘をじっくり聞くことなんて恐らくは除夜の鐘ぐらいでしょうか。
ですが昔は・・明治より前の江戸時代というのはですね
結構寺の鐘が時報の代わりにされていたと言われています。
江戸之刻をご紹介!(実演)
一つ不定時法を表示する時計をご紹介したいと思います。
こちらが正美堂時計店で取り扱っている和時計で「江戸之刻」となります。
桐箱に入っております。
腕時計と懐中時計の2種類の仕様ありますが共に同じ桐箱です。
こちらの時計、このまま使用すると24時間表示の時計なんですけれども、
表蓋(風防部分)が回転し外れるようになっており、ねじ込みで外せます。
この内部に入っているこちら、リングが付属されています。
このリングを時計にセットします。
リングは1月~12月までの合計12個がセットです。
このやぐら型の針が江戸の時間を表示してくれるという仕組みになっています。
両方知っておくと面白い!
令和版の和時計である江戸之刻。
こちらを持つことで両方の時刻を知ることができます。
もちろんあまり精密なものというわけではないんですけれども
ざっくりと江戸時代の不定時法を知ることができると時計で
両方持っておくと時間の概念が少し変わり面白いです。
現在は定時法なので、人に時間を聞かれたりすると
「午後2時」など全て時間で答えるわけなんですが、例えば
「今は丑三刻(うしみつどき)」とかなど不定時法の独特の言い方ができます。
使うことによってですね、「3時のおやつ」などのおやつの語源、なんかも意味がわかってきますので、そういった楽しみ方もできる面白い時計になっております。
※おやつ(お八つ)・・午後2時~4時までの時間である「八刻(やつどき)」が語源
また江戸時代の時間が分かって少し小粋な感じで時間の捉え方なんてのもしていいんじゃないでしょうか。
江戸時代の人間は定時法をどれだけ理解できていたか?
江戸時代の人間はどれだけ定時法を理解できてできていたのか?
それまでは不定時法で日本は世の中が回っていた江戸時代でしたが、
この時代には西洋文化が入ってきたときでもあり、
西洋文化の置時計や懐中時計が日本へも入ってきておりました。
これは一般的な人間が使うものではなく、当時の大名や豪商などのお金持ちの方が舶来の置時計とか金時計、懐中時計を持っていたと言われています。
しかし、不定時法の時間の見方とは全然違います。
この時代は「何時」というような表現方法は全くしなかったので、異文化である定時法の時計をどれだけの人が理解できていたかというのは結構不思議なところでもあります。
時間の概念は全く違う異国の方と、例えば朝の待ち合わせなどどうやって共通の時間を守っていたのかなと、考えながら時計を見てもなかなか面白く興味深く見ていただけるかなと思います。
時間の定義は常に進化する可能性がある。
最後に時間の概念、時間の定義というのは常に変化しています。
2022年10月17日の時事通信の記事を見たんですけれども
2030年には「秒」が再定義されることが想定されています。
決定したわけではないんですが、
変わる可能性があるということ言われてます。
なぜそれを言われているのかいいますと
1日に24時間というのは地球の自転なんです。
自転を軸に作っており、秒で言うと86400秒かかって地球が一周すると言われています。
これは現代の研究で少し変わってきまして、
この地球の自転なんですけれども、86400秒は一律ではなくて
早くなったり遅くなったりしているというふうに判明したと言われてます。
まあ例えばフィギュアスケートのスピンのような感じで、
あれは全部一定のスピードではないんですけれども
それと同じ概念で地球も自分で毎日回っているんですが
スピード(ぺース)が若干変わってきていると言われてますので
こうなったら今までの秒の概念が変わりますので新しい時法に変わってくるかもしれません。
またそれは今後出るものなのでどうなるかは分かりませんが、
現代当たり前に使われている定時法が数十年前の、今僕たちが見る不定時法のように過去の遺物となるかもしれません。
そういうように時間の読み方は人類とともに進化していると言えるのではないでしょうか。
また新しい情報などありましたら
ぜひこちらの動画でもご紹介したいと思います。
今回の動画は以上となります。
正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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