カレンダーには個体差がある

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時計の実用的な機能の一つとして、代表的なものの一つがカレンダー機能です。

機械式時計のカレンダー機能の取り扱いで注意しなければならない点は、夜に操作しないことです。よくカレンダーの日付を変更し忘れていることに夜中気付き、その場で変更する人がいますが、これは知らぬ間に内部に負担をかけてしまい、後の故障の原因となりかねないのです。

次の日忘れそうだからとその場で変えたくなる気持ちはよくわかりますが、時計を少しでも長く大切に使うことを考えるのであれば、あわてず次の日の朝にでも変える方がいいのです。

このカレンダーですが、時計の内部では20時以降になると徐々に動き始めており、日付が変わった後でも内部では動いているので、3時以降までは手動で動かすべきではありません。

だいたいどんな時計でも、上記のパターンでカレンダーが安定するまで放っておく必要があるのですが、実は時計によって日付が変わるタイミングに誤差があるのです。
12時ちょうどでカチッと変わるものもあれば、12時前ですでに変わっていたり、過ぎてから変わったりする時計があります。

これは時計の不良ではなく、時計による個体差といえます。
温度や湿度など環境にも若干左右されますが、前兆の動きがなくクイックで日付が変わるカレンダーも同様となります。

ロレックスのデイトジャストもまさにこの機能です。

12時ちょうどに絶対日付が変わらなくて困った、なんて状況はほとんどないと言えますが、ちょうどに日付が変わってくれると、なんとなく正確な時計を持っているという満足感を実感します。

昔実験したことあるんですが、カレンダーが動き始めてあと3分で12時になる頃に、わざと時計を振って振動を与えてみたところ、振動であっさりと日付が変わったのです。
そんなに無理には動かしてませんが、ある程度は振動で変わるんだと実感したのをおぼえています。

もし12時を超えて日付が変わらない場合、軽く時計を振ると日付が変わってくれます。
最初は故障かな?と考えたこともありますが、この日付が変わるタイミングは故障ではなく、時計による個体差なのです。
よくこういう細かい部分で出る差の事を「当たり」「はずれ」と言われたりしますが、これは決めるのは時計を持つオーナーが決める事なので、時計の価値に影響することではありません。

カレンダーがどう動くか、どうしても気になる人は、店頭にて実際に時計を手に持って確認する事をおすすめします。もちろん、時計によってはアンティークや昔のデッドストックのムーブメントを使用している時計も存在するので、お店の人に確認を取った上で実際に操作をしてみます。

ちなみに、当店ではカレンダーの変わるタイミングは、よほどずれていない限り不良とみなしていません。珍しい時計や希少なモデルばかりを取り扱っているため、とても入荷する本数が少なく、お客様へ提供できなくなってしまうからです。しかも、数年使ってオーバーホールの際に全ての部品を分解し組み立てなおしたら、違うタイミングで変わるようになったなんて例もあるので、あまり重要視していません。

バイヤー:合田圭四郎

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