画像の2本を見比べると、パッと見ベルト以外は同じモデルに見えますが、実はこの2本全然違うのです。
革ベルトの方はアルプス山脈横断飛行に成功したオスカー・ビーダーモデルで、世界限定300本の記念モデルです。
ステンレスブレスレットの時計は、私の私物で初めて購入したオリスのクロノグラフです。
購入した頃は通常モデルとして販売されてましたが、ビッグクラウンのクロノグラフはいつの間にかモデルが減ってしまいました。価格は確か16万円程度だったと記憶していますが、オリスの現行モデルのクロノグラフと比べるととてもリーズナブルな価格設定です。
当時の自分には高い出費でしたが。
以前はこの顔でテレメーターがついたモデルというのも存在しましたが、いつの間にか現行モデルでは無くなってしまっているようです。
さてこの両者の違いなのですが、まずベルトは全然違います。以前も革ベルトはリリースされてましたが、黒革ベルトしかなかったと記憶しています。
ケース、文字盤、風防ともに同一のものを使っていると思いますが、裏蓋は全然違うのです。
私物の方はシースルーバックになっており、裏面を見るとレッドローターを確認することができます。限定モデルは覆われてしまっており、代わりに限定モデル刻印やシリアルナンバーが刻印されています。
違いはこれくらいに感じるのですが、実は肝心な部分が異なります。
私物の方を購入したのは2006年あたりでしたが、実はこの頃のオリスはムーブメントにETA社を使っていました。オリスは機械式時計しか作らないブランドなので、当たり前にETA社のムーブメントが供給されていた頃です。
現行モデルのムーブメントには、Cal,774ことセリタのSW500が採用されています。
バルジュー7750と互換性のあるムーブメントとして評価されているSW500は、オリスにはもはや当たり前のムーブメントとして使われています。
割と早い段階からセリタへとムーブメントを移行したオリスは、自社での厳格なチェック体制とクオリティは妥協しておらず、現CEOであるウーリック・W・エルゾック氏は以前時計誌のインタビューで、セリタムーブメントでクロノメーター級の精度を出すと答えていました。
2013年末に起きたETA社の火災は、ムーブメントを供給されているブランドには大きく影響しそうですが、オリスのように根本的な変革を行っているブランドにはあまり影響がなさそうです。
パッと見た目は変わらずとも、ここ数年でオリスの時計には大きな変化が起きています。
2014年で創業110周年を迎え、創業当初から変わらず高いクォリティを求める姿は、この先も成長し続ける期待できる時計ブランドと言えるでしょう。
バイヤー:合田圭四郎