漫画が原作となっており、2006年に公開され高い人気を呼んだ映画「デスノート」。主人公である夜神月(やがみらいと)がデスノートと呼ばれる黒いノートに名前を書くと、書かれた人が予告通りに死んでしまい、次々と悪人を処刑する主人公と、天才的な探偵Lとの戦いを描いた、少年漫画が原作となっているストーリーです。
面白いストーリーはもちろんのこと、この作品の別の楽しみ方が時計なのです。
デスノートに名前を書く際、時刻まで予告する設定となっており、あらゆるシーンで時計が出てきます。
原作では主人公の父親がパネライを使用しているなど、リアルな表現が面白いところです。
主人公の夜神月は、原作ではオメガのスピードマスタープロフェッショナル(文字盤にブランド名の記載なしだったと思います)を着用していたのですが、映画版ではもっと庶民的な設定なのか、シチズンのオルタナシリーズが使用されていました。
映画の公開当時、当店ではオルタナを取り扱っていたので注文や問い合わせを多くいただきましたが、とりわけ多かった質問があります。
劇中で時計の文字盤がスライドし、内部にデスノートの紙片を入れておく、というシーンがあるのですが、実際に時計はスライドするのか?というメールやお電話を非常に沢山いただきました。
オルタナはクォーツクロノグラフであり、光で発電するエコ・ドライブという画期的な構造の時計なのですが、このスペックで文字盤がスライドするなどあり得ません。
百歩譲ってスライドできるようにしたとしても、12.5mmという厚さではまず不可能で、おそらく20mmを超えることとなり、かなり違和感のあるサイズとなります。
まあ、仮にあったら売れていたとは思いますし、実際に使用ではいざという時のためにお金を入れておけると便利だな、と思いました。
原作ではオメガのスピードマスターも同じような構造になっており、こちらはもっと凝っていて1秒間の間にリューズを4回引かないと作動しない、という構造になっています。
一秒間にリューズを4回押すならまだしも、引くという動作は1秒間では非常に困難で、もし成功してもリューズが取れてしまうだろうなと、夢のない想像をしてしまいました。
007のような、時計は時計でもかなり便利にカスタマイズされた道具はかっこ良く見えると感じるのが、男の憧れでありロマンなのかもしれません。
ちなみに、スピードマスター・プロフェッショナルは手巻き式なので、自動巻きモデルに比べると若干薄型のムーブメントではありますが、文字盤をスライドさせようとすると余裕で20mmを超えなければなりません。
構造は無茶ですが、ジャガー・ルクルトのレベルソのように、文字盤を裏返して全く別の時計に変化してくれる、というようなスペックには憧れてしまいます。
バイヤー:合田圭四郎