心臓丸見せのハートビート

人間の体で常に動いているのは心臓です。
心臓が止まってしまえば命がないのと同じなのですが、時計も一緒です。
まるで心臓のように常に動いているのがテンプ輪なのですが、ここだけをむき出しにしている時計があります。

一般的な名称は「オープンハート」。読んで字のごとく、むき出しになった心臓部分で常に動いているテンプ輪の動きが丸見えになっています。

このオープンハートを世界で初めて作ったブランドが、1988年にスイスのジュネーブで誕生したフレデリック・コンスタントなのです。
ブランドの歴史としては、1988年の創業はかなり若い部類に入ります。

しかしムーブメントを自社で一貫生産できる技術と環境が整っているマニュファクチュールブランドとして、高い技能と知識が世界中で評価されています。
フレデリック・コンスタントは創業当初、18世紀コレクションというシリーズで6モデルを発表したと言われています。

当時はクォーツムーブメントが普及しており、デザインの自由度が高いクォーツ式は、一見しただけでは機械式なのかクォーツ式なのかを判断しづらくなっていたのです。

そこでフレデリック・コンスタントは、文字盤の一部に小窓を開け、そこに機械式の象徴であるテンプ輪の動きを見せることにより、クォーツ式との差別化を図ったようです。

名称は「オープンハート」ではなく「ハートビート」と呼ばれ、フレデリック・コンスタントを代表するデザインの一つになりました。

この技術は次々と他ブランドに模倣されたらしく、今ではそう珍しくないスペックなのですが、ブランドによりそれなりの仕上げになっています。

フレデリック・コンスタントと他ブランドのモデルを見比べてみると、カレンダー部分に違和感をおぼえます。
カレンダー部分というのは通常リング状になっており、回転することにより日数を進めていきます。

しかしハートビートのモデルをよく見ると、数字部分まできちんと削られており、スケルトンの状態になったカレンダーが回転し日付を表示しているのです。他にはペルラージュ装飾という円形の装飾加工が施されており、まるで真珠のように美しい輝きを小窓から見ることができます。

同じようなオープンハートではなく、最初に開発したブランドとして、仕上げにまでこだわっているのはどこよりもフレデリック・コンスタントと言えるでしょう。他社から模倣されるということは、それだけ時計業界にも影響を与えた技術なのです。

バイヤー:合田圭四郎

カテゴリー: スタッフ日記 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA