1960年代まではクォーツ式が誕生していないので、それまでは手巻きまたは自動巻きの機械式のみしか生産されていませんでした。
時計は、限られた空間の中にミクロの部品が合わせられ形成されているのです。より小さくまとまったものには高い技術が求められるので、小さいムーブメントが価値が高いと言われる時期がありました。
しかしクォーツムーブメントができたことにより、ムーブメントはかなりの省スペース化が可能になり、機械式とは比べ物にならないほど薄型や小型な時計が製作可能になりました。
店頭でたまに電池交換を行う際、かなり大きめな時計なのに蓋を開けてみるとスカスカな時計は珍しくありません。
ファッションウォッチなどリーズナブルなブランドではこれが多く、見た目は45mmを超える大柄なモデルなのに、蓋を開いてみると真ん中にポツンとムーブメントが載せられているだけで、あとはプラスチックの部品でムーブメントが動き回らないように抑えているというものです。
外見にはわからないんですが、中身を見るとどこまで手が込んでいるのか、よく理解できます。たとえ有名ブランドであっても、時計専門ブランドでないところはこの辺りの作り込みがチープに見えたりします。
クォーツムーブメントになることでかなり省スペース化が成功し、デザインの自由度が向上したと言えます。
機械式のようにムーブメントを楽しむものではありませんが、これだけコンパクトなものは機械式ではまず不可能で、かなり幅広くいろんな時計に使えると言えます。
バイヤー:合田圭四郎