ここ最近円安になってから、海外輸入品は「値上げ」を余儀なくされ、相次いでいろんなブランドから価格改正のお知らせが届く。いつも時計の価格を目にしているので数万円という価格は見慣れているが、その数万円が価格改正により十数万円になると、かなり値上がりした印象を受けてしまう。
手巻き式や自動巻き式などの機械式時計は、電池を動力とするクォーツ式に比べると比較的高価な印象を持たれる。もちろん機械式の中でもランクがあり、中国製ムーブメントを使っている機械式はある程度リーズナブルな価格設定になっている。
スイス製機械式ムーブメントは、最大級のシェアを持つETA社の機械を採用していたブランドがとても多い。
完成品の状態ではなく、ある程度の半完成の状態で供給され、各ブランドの最終的な仕上げにより完成されていたが、2010年問題という供給ストップの問題でいろんなブランドが対応に現在も追われている。
あるブランドはサプライヤーを別のメーカーに変更したり、中国製に移行したり、オリジナルムーブメントを開発したりなどの動きが、いろんなブランドで展開されている。オリジナルを開発するブランドに関しては、ある程度の資本と技術、環境が必要となるので、これをできるところはまだ元気と言える。
価格改正後たまに「値上げして何が変わったのか?」という質問を受けるが、正直何も変わっていないのがほとんどのケース。よく見るとたまに文字盤やパーツが変更されている場合がある。
ここ10年の流れを見ていても、値下げしたケースはとても珍しく、ほとんどは値上がりする。
時計を購入するお客様目線でいえば、単に価格が高くなるだけのケースがほとんどなので、どうせ購入するのなら早いほうが絶対にお得なのである。
先延ばしにすればするほど、損をしたような価格になってしまう。
日本の事情を追加すれば、2014年(平成26年)にはさらに消費税の増税で購入価格が上がってしまうことは免れない。
ネガティブに受け取ると嫌なイメージしかないが、見方によっては「買うなら今」というタイミングを教えてくれているような考えにもなる。
バイヤー:合田圭四郎