持っていないと気づかない違い

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当店では時計が入荷した時、注文通りで間違いないか、品質はきちんとしているかをチェックしています。これがいわゆる検品です。

一度だけでは見落としてしまうこともあるので、二回ほどチェックしているのですが、担当がわかれています。一度は主にムーブメントの調子など中身を重視したチェック、もう一度は外装のチェックになります。

入荷した時によくあるのが、いつの間にか若干スペックが変わってしまっていることがあるのです。当店は正規品のみの取り扱いなので、偽物が混じってしまうことはまずありませんが、たまに「あれ?」と思ってしまう変更があったりするのです。

例えば、ブランドロゴが変更された場合などは見た目で気づきやすいのですが、少しわかりづらくなると文字の書体が変更されていたりします。メーカーとしては、使用するにあたって問題がない以上は、わざわざ親切に変更の旨を教えてくれたりしません。

工場が変わってしまい本体の形状が変更されているなど、見た目であきらかに違う場合はわかりやすいんですが、特殊なものは実際に見比べてみないとわからない場合があるのです。

つい先日では、フォルティスのB-42コスモノートクロノグラフが入荷しました。この日はたまたま技能のスタッフがお休みであったため、入荷時の検品を私が行ったのです。
自分自身が愛用している時計と同じモデルなので、久しぶりに新品の状態を見てみようと箱を開けると、何か違和感を感じるのです。

小傷が入っているとかそういうことではなく、何か違う違和感。

これがプライベートで愛用しているモデルではなく、入荷した新品状態の時計であれば何も思わなかったんですが、見比べてしまったがために気づいたことは、よく見ると針の色が違っているのです。

いつの間にか針が日焼けしてしまったのかもしれませんが、それにしては均等に色が変色しているので、おそらく針の色が製造時に変更されたのではないかと思っています。

他には、インデックスにあるルミノバ(蓄光塗料)のドットの部分が少し厚めになっていたり、「SWISS MADE」の文字が若干強調されていたりします。
ここまでになると、実際にチェンジ前のものと見比べながらでないと変わっていることすら気づきません。

たまたまイレギュラーなモデルが混ざりこんでしまったのか?それとも若干スペックが変更されたのかは日本国内の輸入代理店でも知ってない場合が多く、まるで気まぐれのようにいつの間にか変更されて入荷してきます。

こうなったら他には何が違うのか、まるで間違い探しをしているような気持ちになり、くまなく裏蓋までチェックしてみたくなりました。
もちろん刻印やロゴマークに変更はありませんでしたが、よく見ると今までは防水性能が「20ATM」だったのに対し、最新モデルでは「20BAR」と刻印されていたりします。

スペック的にはほぼ変わりないはずなのですが、自分自身が持っていないと気づかない細かい部分の変更でした。

愛用の時計が少しづつ進化しているの見ると、なんとなく嬉しくなるものです。

バイヤー:合田圭四郎

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