文字盤のデザインはとても多く、その中から好みのものを選びます。
ヨーロッパのベーシックなもので言えばローマン数字文字盤であったり、日本ではアラビア数字文字盤であったりと多種多様です。
ユニークダイヤルという文字盤も存在し、上半分がローマン数字、下半分がアラビア数字という一風変わった文字盤もあります。
例えば時代によってアールデコ調など少々デザインが変わったりしますが、一貫してデザインが不変なものがバーインデックスです。
その名の通りバー(棒状)の数字が割り当てられているデザインなのですが、最もシンプルな形で時計の読み方を知っている人であれば、どんな国の人でもひと目で時刻を確認することができます。
鉄道やバス、飛行機など出発の時刻が決まっているところほど、見やすい時計の設置が求められます。スイス国鉄(SBB)ではオフィシャルウォッチが決まっており、駅には同じデザインの時計が設置されています。そのブランドこそがモンディーン。
モンディーンは1951年に前身であるFrank & Bernheimをブラジルに設立し、1954年に社名を現在のモンディーンへと変更しています。
スイスの国鉄駅3000箇所以上に設置されていて、大きさや時計のタイプが違う場合がありますがかなりの確率で視界に時計が入ってきます。
モンディーンの時計で、とりわけ個性があるモデルが「Stop To Go」という機能です。
パッと見は普通の3針時計にしか見えませんが、実は秒針が58秒で1周する仕組みになっているのです。秒針が12時位置に来た時に2秒止まり、分針と一緒に動き始めるという仕組みになっているのですが、初めてこれを見た時は時計が壊れているのかと思ったぐらいですが、規則的な動きには見とれてしまいました。
針がきっちりと12時位置で止まり、分針と一緒に動き出す様子は、正確な鉄道運行を象徴する時計としてスイス国内のみならず、世界中の人に認知されています。
香港最大の鉄道であるMTRの駅でも、たまにモンディーンを見かけることがありました。その時計は「Stop To Go」ではなく通常のクォーツと同様の動きをしていましたが、ヨーロッパの駅と比べてもなんの違和感もないデザインは、まさに世界レベルだと実感したのです。
今ではアップグレードしたことで見かけることができなくなりましたが、iPhoneのios6がリリースされた時、時計アプリを起動するとまさにモンディーンの文字盤と針のデザインが使われていました。時計の知識を持つ者として、モンディーンの時計デザインがiPhoneに使われるとは、さすが世界レベルのブランドだと感心していました。
しかし後に問題となり、現在のios7では使われていないのが少々残念です。
どうしてモンディーンのデザインが使われたのかはわかりませんが、それだけ視認性いいデザインである、世界レベルである事を証明したニュースだったと思っています。
まさにシンプル・イズ・ベストな時計デザインです。
バイヤー:合田圭四郎